大学院 博士課程 入学まで③

3.大学院を探す

では、大学院を探していきましょう。大学院教育を博士課程として、博士前期課程2年間と博士後期課程3年間という区分をしている大学院もあれば、修士課程2年間と博士課程3年間(正式には、博士後期課程と言った方がよいと思いますが・・・)という区分をしている大学院もあります。特に、国立系は大学院に入学する時点で、5年間で博士号を取得することを前提に指導が進んでいく場合があります。例えば、東京医科歯科大学では、5年一貫が原則となっています。ここでは、博士号を目指した博士課程について述べていきますので、修士号の取得に関しては、修士課程のブログをご覧ください。

やはり、修士から博士は同じ研究室で、いずれ博士までの取得を考えているなら途切れずに行くことよいと思います。そして、研究テーマも修士の結果を踏み台にするとベストです。「すでに修士からしばらく経っています」「博士は修士とは違う大学院にしようと思います」など、それぞれ様々な事情があるとは思いますが、原則、修士から博士へは同じ研究室で同じテーマがよいということです。これは、前回の②でも述べましたが、博士の修了要件に査読付き論文の提出が求められることが多いため、効率を考えてのことです。また、指導教授との相性や定年退職や移動の兼ね合い、研究室の雰囲気などあるとは思いますが、そこそこならそのままがよいと思います。環境の変化は心身の負担になります。時には、どうしてもやりたいことのために移動することが必要になることもありますので、止めはしませんが、博士号のための研究を壮大にする必要はありません。壮大な研究は博士号を取得してからでもできます。よく言われますが、博士号は研究者の運転免許証です。大学院、つまり教習所でフェラーリは運転しません。教習所を終了し、免許証を手に入れて、カローラなどで鍛えて、フェラーリは運転するものだと思います。

修士から継続して博士に進学する人はよいのですが、そうでない場合は、研究したいテーマの指導を受けられる環境にあるか、つまり、指導教授になってもらえる教員がいるかということが問題です。大学生の卒業研究、修士でお世話になった先生、授業を受けたことがある先生、など面識があると、それを糸口にできるかと思います。

加えて、環境というのは、例えば、基礎看護学分野で実験をしたい場合、実験の施設があるのか、大学病院が併設している大学院で患者さんや看護師などにインタビューなどしやすい状況か、子育てや介護などがある場合、通学しやすい立地であったり、オンライン授業や土日の集中講義などの選択があるか、学費などといったことまでが含まれます。新型コロナウイルスの蔓延で、オンライン授業も拡大した点は、遠距離で通学する大学院にとって良い面だと思います。オンライン授業がこれほどまでに拡大する前からでも、群馬県から東京都にある大学院や滋賀県から兵庫県にある大学院など、県境をまたいで大学院へ通学する人もいましたので、大学院生では珍しくありません。ただ、距離があるという面で大変な部分はあると思います。一般的ですが、歴史のある大学院、つまり博士号取得者の輩出が多い大学院の場合は、教員も大学院生の指導に慣れているため、スムーズに指導が進むことが多いと思います。各大学院のウェブサイトを閲覧することや、YoutubeやInstagramなどのソーシャル・メディアで情報が得られると思います。複数の大学院を比較することをお勧めします。そして、可能ならそこの大学院で博士号を取得した人にどうであったかをたずねることがよいと思います。

加えて、入試に関する案内も熟読しましょう。試験内容や受験に必要な要件などを確認することは重要です。TOEFLなどの英語試験のスコアが必須であったり、英語試験の免除につながったりすることもあります。

大学院によっては、病院などに勤務しながら大学院に行くことも可能です。これは長期履修制度と言います。通常は博士後期課程は修了年限が3年間ですが、4年間に延期できます。原則的に学費の増額はありません。しかし、データ収集や論文作成などまとまった時間を確保することも必要となります。勤務しながら修了するのか、退職や休職するのか、途中から常勤から非常勤に切り替えて、週2くらいの勤務でお小遣い稼ぎをして、修了するのかなど、勤務先の制度も確認しましょう。

病院勤務の方は、研究のデータ収集などで勤務先の病院に協力してもらえるならそれに越したことはありません。良好な関係性が重要です。また、知っている医師の異動先の病院や外勤先の病院など、医師とちょっとしたつながりがあることで、研究の進行が格段に促進されることがあります。「全然連絡していないのに今更・・・」と思われた方もいるかもしれませんが、少しでも面識があるなら思い切って連絡していきましょう。

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