2.修士課程と博士課程の違い
まず、海外ではPh.D.コースとDNPコースがありますが、日本でDNPコースを開設している大学院は、聖路加国際大学など極一部です。DNPはDoctor of Nursing Practiceのことで、専門看護師の教育ができる博士号を持った指導者として、活躍する人のこととです。
ここでは、Ph.D.コースについて話を進めます。
博士課程にも修士課程と同様に授業はありますが、僅かです。その分、研究に時間を費やして、博士論文をまとめることになります。授業は修士課程よりも深く、看護理論、研究方法などを学びます。修士の時よりも少数で受けることになり、大学院生がプレゼンテーションをして、教員や大学院生同士で議論します。そのため、さらに学術論文や書籍を多読、精読し、まとめます。
また、修士と同様に、自分の研究したい疑問を問いただすことで、どのようなことを明らかにするための研究を進めていくかを考えていきます。修士からストレートで進学する場合は、修士での研究を足掛かりに発展させる人が多いと思います。修士から、5~10年以上間が空いている場合は、新たな関心事をテーマに研究を進めていくことが多いと思います。
この時点、もっと言うと入学前から、博士課程の修了要件を確認しておく必要があります。授業の単位と博士論文の作成が修了要件と大学院のウェブサイトには示されていますが、査読付き論文が日本語の場合は2本、英語の場合は1本など、条件があります。修士課程での研究で投稿論文がある場合、それも本数にカウントされるかどうかなど、よく確認しましょう。とにかく、要件は充たさなければなりません。
何分にも、査読には時間がかかりますので、逆算してどの時期までの、投稿できるようにしないといけないかを考えます。そして、そのために研究倫理審査、施設や研究参加者との調整、データ収集・分析などなど、見通したスケジュールを立てていきます。常に時間がないと感じてしまいますが、余裕はありません。スタートダッシュが出遅れると、3年という標準修了年限では修了できない可能性があります。
この点は修士課程と大きな違いだと思います。