2.修士課程では何をするか
進学動機を明白にするために修士課程は何をするところかを知ることが有用ではないでしょうか。
勤務先の病院や周囲に修士課程の修了生がいる場合は、是非、聞いてみてください。どんな授業や実習があって、どのように研究を進めて、修士論文をまとめたのかなど、経験者の意見は参考になると思います。
修士課程には、専門看護師(CNS)コースと研究コースが設けられています。
まず、CNSコースは専門看護師の受験要件を満たすカリキュラム構成になっています。講義と実習、そして課題研究をまとめることが課せられています。講義と実習は、看護学生の時を思い出してもらえるとよいと思います。課題研究は、CNSコースは研究コースと比較して、講義と実習の時間が多いため、研究コースの大学院生よりも論文への時間が割けないため、修士論文とは言わずに、「研究課題」とされています。ただ、多くの大学院では、CNSコースでも学位としては修士号を授与されるため、研究コースの修士論文と同程度の質を求められることが多いです。
一方、研究コースは講義と研究が主軸となります。CNSコースにも言えることですが、講義は看護学生の時よりも少数で受けることになり、大学院生がプレゼンテーションをすることが多くなります。教員や大学院生同士で議論することも多々あります。そのため、学術論文や書籍を多読、精読し、まとめます。毎時間プレゼンテーションをする科目もあれば、受講生で割り振って、1~2回のみの場合もあります。受講生が1~2人ということも珍しくはありません。修士課程の1年目には研究方法、看護理論などを学び、修士論文に向けた研究に役立てていきます。特に、専攻の授業では自分の研究したい疑問を問いただすことで、どのようなことを明らかにするための研究を進めていくかを考えていきます。入学当初に抱いていた疑問は、すでに研究されていた、修士課程の期間ではそのテーマの研究は困難、研究の意義が乏しいなど明らかになります。入学当初の疑問が解決できないことは残念なことかもしれませんが、修士課程という期間内に意義のある研究をすることが必要であり、柔軟性が求められます。そして、文献検討、研究方法などを詰め、研究計画書の作成をして研究倫理審査を受けます。その後、データ収集や分析を実施し、研究結果を修士論文としてまとめます。このように修士課程は講義を受け、その学びを活かしつつ、研究を行っていく過程になります。
あなたの進学動機が、「何となく大学院に進学して、修士号を取得したい」という漠然とした動機のみの場合、このような修士課程に多くの困難を強く感じるかもしれません。日々の病院などでの看護実践から、こんな患者さんや利用者さんがいたから、これを明らかにしたいなど、まずは幾つか研究につながるような疑問や関心事があるとよいと思います。Google Scholar や PubMedで検索をして論文を確認することは皆にできます。病院で医中誌などの検索サイトにアクセスできるなら、是非、検索してみましょう。他にも、大学病院の場合は図書館も利用できると思いますので、有効に活用して、雑誌の論文を読んでみましょう。